a piece of tomorrowことのは詩集「おかえりなさい。」のお手紙 >2002年01月
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詩集「おかえりなさい。」のお手紙
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おかえりなさい。



新しい年を実感するために
お正月はあるのかな

新しい気持ちになるために
お正月はあるのかな

ほんの少しおすましして
ほんの少し軌道修正

明日天気になりますように
今年素敵でありますように

♪503通目のお手紙
*2002/01/01


おかえりなさい。



最後まで描ききらなければ
それは「まる」にはならないんだよ

途中で線が切れてしまえば
曲がった線にしかならないんだよ

隙間からどんどんこぼれてしまうよ
大切なものも愛しいものも

途切れた線をなんとかつなげて
ほら「まる」のできあがり

♪504通目のお手紙
*2002/01/02


おかえりなさい。



屋根に積もった雪は
住んでいる人のいる家だけ
どんどんとけてなくなっていく

お留守のお家の屋根の上は
白い荷物がどっしりと
どんどん重さを増すばかり

お家が肩を落としてる
はやく帰っておいでよと
淋しくて大声で叫んでいるよ

♪505通目のお手紙
*2002/01/03


おかえりなさい。



大切な大切な宝物
ずっと持っていたいけれど
壊してしまうのが嫌で
ずっと一緒にいたいけれど
無くしてしまうのが怖くて
だから宝箱の中に
鍵をかけてしまっておくの
だから寂しがらないで
大切だから置いていくんだ

大好きな大好きな宝物
だけどその宝箱ごと
持って行かれたらどうしよう
だけど開くための鍵を
無くしてしまったらどうしよう
だから宝箱には入れないで
どこにでも一緒に連れていこう
だから少し我慢して
大好きだから持っていくんだ

大切な大好きな宝物
だから少しだけ我慢してね

♪506通目のお手紙
*2002/01/04


おかえりなさい。



バランスの悪いひらがな
ところどころ鏡文字
住所だって間違えてるのに
ここまでちゃんと届いた不思議

鉛筆の文字は何度も何度も
書いては消して繰り返し
もろもろになって読みにくいのに
ここまでちゃんと届いたんだ

きみの分身はこうしてちゃんと
立派に役目を果たしたよ
長い旅を無事に終え
ここまでちゃんと届いたんだ

いつか出したあの手紙も
きっとこうして届いたんだね
まだ一人では行けない場所まで
こうしてちゃんと届いてたんだね

♪507通目のお手紙
*2002/01/05


おかえりなさい。



奪わないで下さい
そんなものでも
私には宝物なのです

壊さないで下さい
どんなものでも
すべては宝物なのです

汚さないで下さい
あきらめないで下さい
あなた自身も
たしかに宝物なのです

ここにあるものはすべて
私には宝物なのです

どこにあるものもすべて
誰かの宝物なのです

この世界にあるものすべて
この世に生まれた者すべて
皆の宝物なのです

♪508通目のお手紙
*2002/01/06


おかえりなさい。



突然湧き出る水なんてないよ
雨が降り土に眠りそして流れ行く
その水を今飲んでいる

歴史のない土地なんてないよ
今までがあってこれからがある
その間に今生きている

今日の続きなのに名前は明日
違う日だけど今日の続き

♪509通目のお手紙
*2002/01/07


おかえりなさい。



細かく震えた文字は
かじかんだ手で書いた
あなたの顔が思い浮かぶ

書きなぐった文字は
苛立ちを隠しきれない
あなたの顔が見えてくる

美しく並んだ文字は
まっすぐで穏やかな
あなたの心が感じられる

そうしてあなたはこの手紙に
どんな私を見るのでしょう

♪510通目のお手紙
*2002/01/08


おかえりなさい。



窓ガラスの向こうには
風がぴゅうぴゅう吹いている
窓はガタンと音をたてて
時折少しだけ意地悪をする

薄っぺらいその身体で
冷たい風から護ってくれる
だけどときどききまぐれに
ガラスは少しだけ意地悪をする

わかっているよ覚えているよ
キミのおかげでたすかっている
雨の日も雪の日も日照りの日だって
キミのおかげでたすかっているよ

♪511通目のお手紙
*2002/01/09


おかえりなさい。



まんまるに

着ぶくれした小鳥さん

電線でぎゅうぎゅう

おしくらまんじゅう



まんまるすぎて

誰だかわからない

身体もまんまる

目もまんまる



丸裸の百日紅に
(↑さるすべり)
ちょこんとまんまる

乾いた地面にも

ぽつんとまんまる



転がっていきそうな

まんまる小鳥さん

北風の中ちゅんちゅんと

励ましあって帰って行くよ

♪512通目のお手紙
*2002/01/10


おかえりなさい。



いつでもいいよと言われれば
いつまでたってもできないのに
五秒前とカウントされれば
思わず覚悟を決める不思議

時間はあるよと言われれば
一日悩んでも出ない答えが
一分前と時計が言えば
不意に思い浮かぶ不思議

それなら勝手にカウントするよ
さあ布団から出る五秒前だ

♪513通目のお手紙
*2002/01/11


おかえりなさい。



あの子が二歩進む間に
あの人は一歩進んでる
小さなあの子は元気よく
どんどん足を進めてく

あの子が二歩で進む距離を
あの人は一歩で進んでしまう
大きなあの人はゆっくりと
だけどどんどん進んでいくよ

♪514通目のお手紙
*2002/01/12


おかえりなさい。



いろんな色を組み合わせて
そしてそれを編みあげて
一本の紐にしあげます

美しい箱に和紙を重ねて
そして紐を丁寧に結んで
綺麗なかたちに整えます

それはけして
過剰包装などではなくて
心のこもったしるしです

♪515通目のお手紙
*2002/01/13


おかえりなさい。



おいしそうに食べるのを
見ているだけで笑顔になる
満足そうな顔は周りを巻き込んで
そして笑い声に変わる

どんなごちそうも笑顔がなければ
おいしさは消えてしまうよ
笑顔の前でいつもの御飯は
最高のごちそうになる

話はずんで笑顔が増える
料理の仕上げは食卓の上
どんな料理もおいしくさせる
誰でも使える素敵な魔法

♪516通目のお手紙
*2002/01/14


おかえりなさい。



寒い日の雨
冷たい雨
だけどそれは
雪ではなくて
見えないほどに
細かい雨
それはけして
雪ではなくて

雪にかわれば
街の色もかわり
小さな子供たちが
歓声をあげて
赤や黄色の手袋と
軒先には
そっくりな顔した
雪だるま

だけどまだ
雪にはなれず
冷たい雨は
しとしとと
寒いはずの
雪の日よりも
ずっと寒くて
淋しい光景

だけどそんな
寒い日には
お部屋に入るのが
嬉しくなる
お風呂に入るのが
嬉しくなる
お布団に入るのが
嬉しくなる

寒い日には
寒い日の
嬉しくなること
いっぱいあるから
ほんの少し
我慢をして
白い息して
雨やどり

♪517通目のお手紙
*2002/01/15


おかえりなさい。



10増えて10減っても
最初と同じにしかならないの?
100減って100増えても
変わらなかったことになるの?

減ったものもあるけれど
増えたものだってあるんだよ
無くしたものもあるけれど
手に入れたものだってあるんだよ

0はいつも同じ顔して
すましてそこにいるけれど
きっとたくさんの種類があって
いろんな意味があるんだよ

♪518通目のお手紙
*2002/01/16


おかえりなさい。



ここに私がいるということ
そこにあなたがいるということ
今日が今日であるということ
今を生きているということ

それだけで十分です
それだけできっと奇蹟です
そこに生きていてくれるということ
それだけできっと幸せです

明日を想いながらも
今日を大切にして下さい
あなたが生きていてくれるということ
それだけで愛しくてたまりません

大勢の人間の生命の欠片を
受け継いで生まれた子供たちよ
あなたが生きていてくれるということ
それだけで眩しくてたまりません

♪519通目のお手紙
*2002/01/17


おかえりなさい。



日向と日影の境目で
右足と左足違う色

ひんやり寒い右足と
ほんのり暖かい左足

どちらも今の真実で
どちらも今を感じている

端と端と比べてみれば
同じものでも違うもの

比べる部分を変えてみれば
違うものでも同じもの

♪520通目のお手紙
*2002/01/18


おかえりなさい。



何も言わないけど大好きなんだ
何にも言えないほど大好きなんだ

何でも言ってしまうけど大好きなんだ
何でも言ってしまうほど大好きなんだ

何も知らないけど大好きなんだ
何もわからないけど大好きなんだ

好きになればなるほどに
知らないことに気づくんだ

いろんなことを知ってるけれど
知らないことに気づくんだ

♪521通目のお手紙
*2002/01/19


おかえりなさい。



こぼれ落ちた雫を
ひとつひとつすくい取って
せめて水という名だけでも
取り戻してあげましょう

こぼれ落ちた水滴を
ひとつひとつすくい取って
せめて目に見えるくらい
硝子の器に集めましょう

またこぼれてしまわぬように
器のかたちを変えながら
硝子が割れてしまわぬように
時々そっと深呼吸をして

♪522通目のお手紙
*2002/01/20


おかえりなさい。



椅子は座るための物

だけど踏み台になったり
物を置いたりもできるよ

鉛筆は字を書くための物

だけど隙間に落ちた物をとったり
絵を描いたりもできるよ

あなたは何をする人なの?

だけどいろんな人と会って
いろんな顔を持っているよ

あなたはどんな人なの?

だけどいろんな感情があって
いろんな表情をしているよ

♪523通目のお手紙
*2002/01/21


おかえりなさい。



指の動きがそのまま音となる
力の加減がそのまま音の強弱となる
ひとつひとつの音符は幾重にも重なって
追いかけたり追いかけられたりしながら
そして音楽になっていく

あたりまえのように一曲を弾くために
休むことなく諦めることなく
何百回も何千回も練習をして
だけどそんな素振りも見せないで
優雅にピアノを弾いている

ずっと昔の人が残した想いを
楽譜から取り出していく
そんな魔法のようなことを
まるで何でもないかのように
優雅に奏でてみせるんだ

♪524通目のお手紙
*2002/01/22


おかえりなさい。



3枚のカード
正解はひとつと言う
だけどどれをめくっても
本当は正解ばかり

3枚のカード
ひとつだけめくって
正解が出たらきっと
いいことがあるからと

3枚のカード
最初から正解ばかり
なんとなく予感しながら
なのにずっと悩んでる

♪525通目のお手紙
*2002/01/23


おかえりなさい。



心臓がどきどきしてる
運んだり受け取ったり
汚れたり綺麗になったり
血はどくどくと
身体中をめぐって
そしてまた心臓に戻る

心臓がどきどきしてる
この速さはどこで
決まっているんだろう
血はどくどくと
身体中をめぐって
そしてまた心臓に戻る

♪526通目のお手紙
*2002/01/24


おかえりなさい。



雨戸をしめて
カーテンをしめて
布団をかぶって
目をとじて

暗いよ暗いよと
ぶるぶる震えて
そしてまた
瞼をぎゅっととじて

とっくに朝は来てるのに
光はそこまで来てるのに
怖がって余計に頑丈に
光を拒んでしまってる

目を開いて
布団を除けて
カーテンを開いて
雨戸を開いて

寒すぎるなら
窓は閉めていてもいいよ
明るすぎるなら
レースのカーテンひいてもいいよ

♪527通目のお手紙
*2002/01/25


おかえりなさい。



探してあげることはできないよ
だから一緒に探しにいこう

渡してあげることはできないよ
だから一緒に見つけにいこう

走っていくことはできないけれど
ゆっくりじっくり歩いていこう

♪528通目のお手紙
*2002/01/26


おかえりなさい。



真っ赤な花が咲いている
白い季節に真っ赤な花
分厚いコートを着ているみたいに
幾重にも花弁を重ねて

真っ赤な花が咲いている
白い季節に真っ赤な花
たしかにここで生きていると
大声で叫んでいるみたいに

真っ赤な花が咲いている
白い季節に真っ赤な花
まるで化粧をしたみたいに
雪を纏ってまた美しくなる

白い季節に真っ赤な花
それはきっと冬の女王

♪529通目のお手紙
*2002/01/27


おかえりなさい。



古い映画の中に生きる人
何度も何度もよみがえり
何度も同じ青春を生きる

古い映画の中で笑う人
いくら手をのばしても届かない
もうどこにもいない人

きっと想像もしていなかった
こんな小さな画面の中で
きっと思いもしていなかった
こんな遠い時代に

フィルムの中に産み落とされ
銀幕の中に生きるはずの
古い映画の若者たちは
繰りかえし繰りかえし
呼び出されては愛されて
そしてまた小さなディスクに戻る

古い映画の中に生きる人
何度も何度も生き返り
何度も同じ夢をみる

♪530通目のお手紙
*2002/01/28


おかえりなさい。



何か入っていやしないかと
封筒のなか覗き込んだり
何か書いてやしないかと
便箋を裏向けたり

何か残っていやしないかと
袋のなか探ったり
おまけを少し期待して
箱のなか確かめたり

郵便受けを確かめたり
新製品を探したり
違う人の電話の音に
自分の携帯を確かめたり

まだそのままあの場所で
見送ってくれていないかと
あの人の笑顔を期待して
何度も何度も振り返ったり

誰か知っている人が
乗ってくるんじゃないかと
電車が駅に着く度に
ドアの方を見つめてみたり

駄目でもがっかりはしないけど
ほんの少し期待してる
すました顔して誰もがこっそり
小さな幸せさがしてる

♪531通目のお手紙
*2002/01/29


おかえりなさい。



心で夢をつくって
そして夢のことで悩んでいる
眠って夢をみて
そして起きて考えている

脚本も主演も監督も
そして観客もたった一人の作品
評論家もスポンサーも
舞台装置も一人きり

夜毎に幾多の新作を生み出し
そしてすぐに忘れてしまう
波が寄せてはかえるように
心をとらえては消えていく

モノクロだと思い込んで
記憶に鍵をかけながら
目をとじて眠りについて
そして極彩色の夢をみる

♪532通目のお手紙
*2002/01/30


おかえりなさい。



探し物が見つからないのは
いろんなものがありすぎるから
ちゃんと片づけられたら
きっとはやく見つけられる

心の中もからっぽにすれば
ちゃんと全部かたづけたら
ひとつのことを深く深く
ちゃんと考えられるのかな

心の中にずっとあった
だけど見えなかったこと
まるでどこか遠くから
降ってきた言葉のように

何にも考えないように
そうしようとすればするほど
いろんなことが頭の中
ぐるぐるとまわりだす

何にも思わないように
そうしようとすればするほど
いろんな想いが心の中
ぐるぐるとまわりだすよ

心の中をからっぽにする
その方法があるならきっと
そうしようとしていることを
すっかり忘れてしまうこと

考えないようにと思っていることすら
すっかり忘れてしまえるように
ただひたすらにひとつのことに
没頭したりするんだね

♪533通目のお手紙
*2002/01/31


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