a piece of tomorrowことのは詩集「おかえりなさい。」のお手紙 >2003年01月
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詩集「おかえりなさい。」のお手紙
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おかえりなさい。



毎日太陽は昇るのに
朝日の光を眩しく思う
何もかもが新鮮で
何もかもが輝いて見える

新しい気持ちに戻る日
一年のはじまり

♪868通目のお手紙
*2003/01/01


おかえりなさい。



楽譜は読めなくても
音楽は伝わる

声は聴こえなくても
笑顔は伝わる

文字は読めなくても
言葉は伝わる

言葉はわからなくても
気持ちは伝わる

♪869通目のお手紙
*2003/01/02


おかえりなさい。



味を食べる
匂いを食べる
色を食べる
かたちを食べる
雰囲気を食べる
会話を食べる
気持ちを食べる
時を食べる

♪870通目のお手紙
*2003/01/03


おかえりなさい。



一番大きな時計の上に
僕らはみんな立っているんだ

それがなければ時もなく
それがなければ僕らもいない

僕らを生み育む物
そして僕らが守る物

一番古い時計の上に
僕らはみんな生きているんんだ

♪871通目のお手紙
*2003/01/04


おかえりなさい。



出口にたどりつけない迷路
先に進めないからと
戻ろうとした時には
もう元の道はない

前も後ろも迷路ならば
前と信じて進むだけ

♪872通目のお手紙
*2003/01/05


おかえりなさい。



小さな椅子がありました
かわいい椅子がありました
背もたれも肘かけもないけれど
かわいい椅子がありました

誰かがそのかわいい椅子を
小さな箱と呼びました
逆さに向けてその中に
おもちゃをたくさん入れました

他の人はその椅子を
踏み台と呼びました
高い所にある本を
その上に乗って取りました

小さな椅子がありました
かわいい椅子がありました
他の誰が何と呼んでも
椅子と呼ぶことに決めました

♪873通目のお手紙
*2003/01/06


おかえりなさい。



お腹の中に入ったお魚は
真夜中にそっと飛び出して
夜空の中を泳ぐのです

星と星との間をぬって
時には流れ星のふりをして
夜空の中を泳ぐのです

そしてこっそり海に戻って
波を照らす光になって
夜空の中を泳ぐのです

♪874通目のお手紙
*2003/01/07


おかえりなさい。



一枚の布の中から
新しいかたちを取り出す

いろいろな服があるけれど
元はどれも布だったもの
切り取って縫い合わせて
そして仕上げられたもの

布は布のままそのままで
包むのに使ってもいい
小さく小さく切り刻んで
綿の如く戻してもいい

一枚の布の中から
新しいかたちを取り出す
皆の分の布を持ち寄れば
もっと大きな布になる

♪875通目のお手紙
*2003/01/08


おかえりなさい。



郵便受けの中
帰りを待ってる
手紙がひとつ

四角い箱の片隅に
こっそり待ってる
手紙がひとつ

長い長い旅のはて
たどり着いたその場所で
手の温もりに触れるのを
そっと待ってる
手紙がひとつ

♪876通目のお手紙
*2003/01/09


おかえりなさい。



追いかけても追いかけても
追いつかなくて
とにかく速く走ろうと
懸命に走ってた

前を行く君が速いから
速く走れると思ってた
気がつけばどこにも
見えなくなってしまってた

人の波の中に埋もれてしまった
それとも遠すぎて見えなくなった

本当はもうとっくに
追い抜かして後ろ側
本当はもうずっと
自分の力で走ってる

♪877通目のお手紙
*2003/01/10


おかえりなさい。



ふたを閉めてしまえば
どれも同じひとつの箱

色も形もにおいも同じ
それはどれも同じ箱

大切な宝物だから
少しだけお休みをあげる

今はただ箱の中
再び開くその日まで

♪878通目のお手紙
*2003/01/11


おかえりなさい。



決められた材料を
決められた分量で
決められた時間をかけて
決められた順番で

全部その通りにしたならば
全部同じになるはずだけど
作る度に違うから
何度でも飽きずにくり返す

絶対に同じになるならば
誰がやっても同じだけれど
作る人で変わるから
君じゃないと駄目なんだ

♪879通目のお手紙
*2003/01/12


おかえりなさい。



同じ形の窓が
いくつもいくつも並んでる
だけどそこからの景色は
ひとつひとつ全部違う

ほんの少しの角度の違いで
ほんの少しの高さの違いで
よく似ているかもしれないけれど
それはもう違う景色

カーテンの色も
部屋の空気も
窓の中の景色だって
ひとつひとつ全然違う

同じ窓なんて
どこにもない

♪880通目のお手紙
*2003/01/13


おかえりなさい。



お布団が身体を
あたためているのか
身体がお布団を
あたためているのか

不思議な関係
素敵な関係

♪881通目のお手紙
*2003/01/14


おかえりなさい。



爪先まで指の先まで
ちゃんと綺麗に見えるように
細やかに繊細に
動いてみせただけなのに
遠くから明日から
はっきりと見える

大きく動くよりも
ずっと

♪882通目のお手紙
*2003/01/15


おかえりなさい。



雪の日には雪の日の
雨の日には雨の日の
お天気の日にはお天気の日の
風の日には風の日の

楽しみ方があること知っている
いつだって空はそこにある

♪883通目のお手紙
*2003/01/16


おかえりなさい。



レストランのテーブルで
メニュ−とずっとにらめっこ

どれも美味しいことなんて
最初から本当はわかってる

自分が本当に食べたいものが
どれかをずっと悩んでる

♪884通目のお手紙
*2003/01/17


おかえりなさい。



一度も読んでいないかのように
新しい姿そのままで
残しておきたい本がある

綺麗な装丁のカバーもはずして
破れてしまいそうなほどに
読み返したい本がある

大切に大切に
そこにあるのは同じ気持ち

♪885通目のお手紙
*2003/01/18


おかえりなさい。



風船と針
どちらが強い

大きさならば
風船の勝ち

強さならば
針の勝ち

見えないほどに
小さいけれど

♪886通目のお手紙
*2003/01/19


おかえりなさい。



木でできたフレームに
セピア色の硝子をはめこんで
真新しいポストカードに
違う命をあげる

古びた美しい思い出のように
懐かしく愛しい記憶のように

♪887通目のお手紙
*2003/01/20


おかえりなさい。



何が書いてあっても
それはただの一枚の紙
風が吹けば飛んで行く
炎があれば燃えてしまう

一万円札もおもちゃのお金も
手紙もティッシュも包装紙も
全部同じ一枚の紙
泥に落とせば汚れてしまう
水に出逢えば弱ってしまう

♪888通目のお手紙
*2003/01/21


おかえりなさい。



時刻表があったとしても
時計がないとはじまらない

時計がそこにあったとしても
遅れていては意味がない

時計がちゃんとあっていても
電車が遅れることもある

大勢の人と電車が皆
駅で待ち合わせしているみたい

♪889通目のお手紙
*2003/01/22


おかえりなさい。



日溜まり探しの名人は
日陰の寒さを知っている

雨のリズムを知る人は
静寂の記憶を持つ

♪890通目のお手紙
*2003/01/23


おかえりなさい。



探せばどこかに転がっている
だけど拾った答えじゃ駄目なんだ
一から全部造り上げた
答えじゃないと駄目なんだ

森の中やっと見つけた
拾ったそれを使うなら
それが何かを知らないと
きっと使いこなせない

誰かが持って来てくれた
もらったそれを使うなら
本当の重さを知らないと
きっとそれに振り回される

♪891通目のお手紙
*2003/01/24


おかえりなさい。



こちらから見れば表だけれど
向こうから見れば裏側になる

こちらから見れば背中だけれど
向こうから見れば顔が見える

裏側が見えたと思ったけれど
本当はそっちが表側

♪892通目のお手紙
*2003/01/25


おかえりなさい。



時計では朝
空は夜
星の光が溶けていく
月が白くなっていく

朝は突然にはやってこない
ゆっくりと混ざり合う

♪893通目のお手紙
*2003/01/26


おかえりなさい。



声は聴こえるのに
姿が見えない
子猫の行方
探してる

居場所を求めて
鳴いている
子猫の行方
探してる

♪894通目のお手紙
*2003/01/27


おかえりなさい。



心はきっと空の色
青空が眩しいのは
内に秘めたすべてのことを
見透かされてしまいそうだから

心はきっと空の色
曇り空が重いのは
隠していた涙まで全部
溢れてしまいそうになるから

♪895通目のお手紙
*2003/01/28


おかえりなさい。



たった1年
だけど365日もある

たった1日
だけど24時間もある

たった1時間
だけど60分もある

たった1分
だけど60秒もある

たった1秒
だけどすべてが
その1秒を重ねた時間

♪896通目のお手紙
*2003/01/29


おかえりなさい。



瞬きもせず
身じろぎもせずに
何ひとつ変わらずに
時を過ごしているつもり

太陽が動けば
影はその向きを変える
角度が変われば
影はそのかたちを変える

変わっていないつもり
何ひとつ変わってないつもり
だけど影はいつだって
その向きとかたちを変える

♪897通目のお手紙
*2003/01/30


おかえりなさい。



進めない
進めない
たった一歩が
重く苦しい

息ができない
瞼が開かない
叫んでも叫んでも
何も届かない

ほんの少し
向きが違うだけ
振り向いた瞬間
それは背中押す手に変わる

♪898通目のお手紙
*2003/01/31


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